回天記念館(当時の肉声は貴重)
山口県周南市大津島の回天記念館は、捨て身で敵艦に突撃する「回天」の記念館です。捨て身で突撃は神風特攻隊が有名ですが、それの潜水艦バージョンが「回天」です。大津島に「回天」の訓練場、試験場があったため記念館が建てられたそうです。
「回天」は太平洋戦争で追い詰められた日本が戦局を盛り返すために考案されたもので、若者たちが何度も上層部に掛け合ってなんとか採用してもらったものらしいです。無理やり特攻させられたのでは無く、自主的に願い出たというところに命より重い愛国心を感じます。
この回天記念館がある大津島は離島であるため、まず徳山港から大津島巡航フェリーに乗ります。船は1日7本出ていて、回天記念館の最寄り港「馬島」まで約40分で着きます。
↑徳山港周辺は工場地帯で良い景色です。
降り場である「馬島」に着いたら、回天記念館まで徒歩で5分ほどで行けます。案内看板に従って行けば迷うことは無いと思います。
この回天記念館では、なぜ捨て身の人間魚雷「回天」が考案されたのか、それに乗り込んだのはどんな若者達だったのかについて詳しく説明されています。特に、回天に乗り込む前に隊員が残した肉声テープや、生き残った隊員の当時を振り返るインタビュー映像はネットや本では得られない情報だと思います。
展示で一番人が集まるところはやはり、特攻した若者達が残した手紙の展示ですね。基本的に手紙の内容は「日本のために働けることが誇らしい」というものですが、これが全て本心かどうかはわかりません。自分も職場のアンケートや、自己評価表←(昇給や部署移動に影響する)では「会社のために働けることが誇らしい」的な思ってもいないことを書きますもの。それが言論統制されていた当時の日本ならなおさらでしょう。そんなことが垣間見れるのが、当時を振り返るインタビュー映像で、回天の訓練をしていた時の当時の本音を聞くことができます。恐怖を感じた事、死について深く考えた事、その中でも楽しいことがあった事など・・・。これを聞くと、すごく人間味というか、ゆとり世代の自分でも理解できる感情、考え方がちゃんとあって同じ人間なんだなーと思いました。ゆとりだって頑張って生きているんです。
ちなみに一番印象に残ったのは樋口大尉という人が残した言葉です。この樋口大尉は、「回天」の運転練習中に機器トラブルで「回天」もろとも沈んで死んでしまいます。敵に突撃するでもなく、作戦中に死ぬでもなく練習中にただただ沈んでいく際に書き残した言葉が「後輩諸君に、犠牲を踏み越えて突進せよ」。後に引き上げられた際にこの遺言が残されていたそうです。なぜ強烈に印象に残ったのかうまく説明できないですが、こみあげてくる感情がありました。
この記念館は小さくまとまっていて、普通にまわって30分、じっくり見て1時間くらいです。歴史に興味のない方でも色々感じること、学ぶことが多いのではないでしょうか。
おすすめ度8点(10点中)・・・当時の肉声テープや、当時を振り返るインタビュー映像には感動します!
参考URL:回天記念館
回天訓練基地と整備工場跡(回天の名残が見れる場所)
山口県周南市の回天訓練基地跡は大津島の回天記念館から徒歩10分ほどで行けます。当時ここで回天の運転訓練をしていたそうです。
訓練基地跡へはこのトンネルを通って行きます。このトンネルは「回天」をトロッコで運んだルートで、電灯全てにクモの巣がびっしり張ってあります。たぶんトンネル内の電灯はクモ界では高級住宅街の一等地でしょうね。膨大な不労所得(巣にかかる虫)が約束されていますもの。けど24時間電灯の真ん前って眩しくないんでしょうか。朝と夜が分からなくなり自分なら気が狂います。
トンネルの途中には基地へ緊急連絡を送る場所や、パネル展示などがあり歩いていて飽きません。
↑ここから正面の基地へ緊急信号を送ります
これが回天訓練基地跡です。あくまで訓練基地で、ここから「回天」が出撃していったわけではありません。ただ戦争遺産として貴重なようで、土木学会の土木遺産というものに認定されています。よくわかりませんが学会の遺産ならすごいのでしょう初めから気付いてました。嘘じゃないです。
建物内は入れないですが、パネルによる説明が充実していて、どのようにこの訓練基地が利用されていたのかが良くわかります。もともとは魚雷の試験施設だったらしく、その名残が見られます。
↑魚雷の試験場跡
回天訓練基地を後にし、再びトンネルを通って帰ると小学校があります。この小学校の敷地が回天の整備工場跡で、この工場からトンネルを通り訓練基地へ回天が運ばれていました。
↑小学校の敷地にある建屋。手前の赤い屋根が危険物貯蔵庫
ここからすぐ近くに登山道があり、20分ほどで山頂へ行くことができます。参道途中には魚雷見張所跡があり、そっちがメインの目的になるかと。
↑参道
↑山頂の風景
山道入り口の看板では「山頂まで約20分」と書かれていますが、おそらくこれは仲間と楽しく登った場合で、一人でタイムアタックしたら10分で登れました。尋常じゃなく汗かきますけど。時間が無い方は参考にしてください。フェリーが2時間に1本しか出ていないので、大津島観光に時間管理は必須です。
ちなみにフェリー乗り場でちょっとしたお土産が販売されています。
おすすめ度7点(10点中)・・・魚雷見張所跡に関しては山を登ってまで行かなくても良いかと。
参考URL:回天訓練基地と整備工場跡
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